~その1~ 摺り漆
「摺り漆」と「拭き上げ」の工程を目的の艶が得られるまで繰り返します。 摺漆を完成させるまでに、何度も摺るという作業と拭くという作業が出てきます。 漆をタンポで塗る事を摺漆と言います。そのまま漆風呂で乾かすと塗りムラがそのまま残り固まってしまうので、塗りムラを無くすために、漆を平らに延ばすように拭き上げます。これを拭き上げと言います。 十分に摺り込まれた木地固めの漆に、さらにこの極めて薄い漆の層を乾かし、重ねる事で丈夫で上品な摺漆漆器が生まれます。 漆が乾き固まるのは温度や湿度によるものです。湿度、温度が高いほど早く乾き、低いほど遅く乾きます。とくに梅雨入りの頃や冬の乾燥時では条件が変わるので、季節ごとの調整に注意が必要です。
1)木地調整
◆用意する物
・木地
・#400の空ペーパー
・消しゴム
さっそく空ペーパーで磨いていきます。
空ペーパーに何かをはさむと研ぎやすく、ここでは消しゴムを使用しています。
平らな部分は段差が出ないように気を付けます。
木地が滑らかになるように丹念に磨き上げます。
木地を綺麗にする
【用意する物】
濡れ木綿布
水をしっかり絞った木綿布を用意します。
導管をふさぐコネを取り除くように綺麗に拭き上げます。
木地を固める作業をします。
【用意する物】
テレピン油・小皿・ヘラ・生漆
小皿に生漆を入れます。
チューブ漆のフタをするときは、中に空気が入らないように空気を抜いてフタを締めます。
これでよし
生漆とテレピン油を1:1の割合になるように注ぎます。
漆とテレピン油をヘラで混ぜ合わせます。
次に摺紙と綿でタンポを作ります。
綿のみのタンポですと綿くずが木目に残る事があるので摺紙を10cm角程度に切ります。
切った摺紙の中に綿を包み込みます。
持ち手をギリギリをひねって綿がはみ出さないようにします。
綿が入った部分を揉んで形を整えて完成です。